パリでそば打ちを披露

フランスそば打ち

古くからの同級でもある稲垣氏から「フランスでそば打ちをやってみろよ!」というオファーがあり、普段錐揉みする蕎麦屋の一番落ち着く季節、この2月に遠征を試みることと致しました。

もちろん、海外遠征はお初ということもあり、100%こちらで段取りをするというわけにも行かず、現地の日本食ビストロ「SOMA」イサムさまに場所の提供と、厨房施設の提供をお願いし、まずはそのお店に集まる常連さんから当日の参加を募り、日本蕎麦を味わって頂こうと企画したものです。

フランスそば打ち

そば打ちともなると、道具の調達や材料や水、厨房も初めてということもあり、はじめの3日はガチンコ勝負であります。

まずは、水。

かなりの硬水ということもあり、蕎麦が繋がりにくいことはわかっておりましたが、ここまでとは思っておりませんでした。

現地に到着してすぐに試し打ちはしてみたのですが、やはりまったく繋がらずそば粉との相性にも問題があるようでした。

長野で育ったそば粉は長野の水で出来ているわけであり、蕎麦を生成する上で長野の水を使うのは当然と言えば当然。

そうした頭では理解できていたことが、離れた、しかも海外で目の当たりにすると、焦って汗しかでないものです。

フランスそば打ち

嘆いていても仕方ないので、仕込みを兼ねて夜遅くまでベストな提供を考え改良を考え、ようやく普段の蕎麦に近づけることが出来ました。

このSOMAというお店は、地下にガス台、1階がホール兼打ち場というような流れとなり、少々慣れないオペレーションの段取りに難儀するところもありましたが、仕込みとカウンターに分けて分業体制で仕込みを行いました。

下の仕込み場は、鰹節出汁と鴨ローストのイイ香りが広がります。

また、SOMA店主イサムさまにも全面協力して頂き、蕎麦を使ったマリネなどの新アイデアも飛び出し、あとは当日のお客様提供が愉しみという感じです。

当日の提供を控え、少々マルシェへお買い物。

新鮮なお野菜、フルーツなどが並び、薬味に使う材料などを調達。

お惣菜というか、屋台的なちょっとした食べモノも売っており、北海道クラスの寒さでしたが、お腹も温まりました。

そして、本番の当日を迎えることになりました。

ちらほらとお客様も集まりはじめたので、早速1キロのそば打ちをスタート。

どうしてもカウンター裏のコールドテーブルで打たなければならず、この量が限界ですね。

フランスそば打ち

事前に打っていた抹茶蕎麦を少々アレンジ。

オリーブオイルとビネガーでオリジナルにこしらえた少々酸味のあるドレッシングで抹茶蕎麦を和え、抹茶蕎麦マリネとして提供。

これは、なかなか日本の蕎麦屋には思いつかない前菜としてクオリティアップしました。

お蕎麦を打ち立て茹でたてで出すだけしか脳のない堀固まった考え方、改めなければとつくづく勉強になりました。

ご提供したメニューでありますが、突貫で材料現地調達にしては、なかなかおもしろいバリエーションになったと思っております。

三種前菜は、かえし漬けのクリームチーズにかつおぶしを添え、半生鰹節はオリーブオイルを少々アクセントに加えております。

そして、先程紹介した抹茶蕎麦マリネ。

どれもこれも好評で嬉しい限りです。

フランスそば打ち

とにかく日本蕎麦に興味津々という感じで、質問攻めにあって慌てふためく自分がおります。

ご挨拶ていどの英語しかできない言語能力であったのは承知の上ですが、やっぱりしっかりと伝えることができたのか、コミュニケーションに後悔が残りますね。

そして、メインの鴨蕎麦。

これは、うちで普段出している炙りの鴨蕎麦とも違い、ラーメンスタイルと言った方がいいでしょうか、ぶっかけ蕎麦に鴨ローストの薄切りをのせ、ネギと一緒に炒めた脂を少々アクセントとして入れ込みました。

このしっかりと焼き目を付けた鴨肉がとにかく好評であり、お蕎麦とお汁との相性も抜群と!とにかく絶賛を頂きました一品です。

フランスそば打ち

温かい蕎麦ということもあり、少々太めに蕎麦を仕上げ、汁絡みがイイように表面も粗目に追い込みました。

水の違い、慣れないそば粉、慣れない打ち場という問題がありましたが、なんとかお喜び頂けるメイン蕎麦を提供することが出来て感無量でした。

こうして、怒涛の1週間が過ぎたわけですが、無事帰国し、こうした海外遠征で培った経験を、お店でのご提供にフィードバックできるよう、これまでの反省点、これからの対策などを立て、よりお客様に満足を提供できるよう努力しなければならないなー と感じております。

蕎麦の可能性は、そば打ちだけにとどまらず、調理法や提供の方法など様々な可能性を秘めていると、また、お客様から学んだしまいました。

わたくし、いえ、西鶴間増田屋のそば打ちは、まだまだ進化します。

古い伝統の調理法を伝承していることと共に、新たなフェーズへの「そば打ち」というモノを、ご提供して行こうと思っております。

今回の海外遠征でご尽力頂きましたすべての方へ、この場を借りて感謝申し上げます。

ありがとうございました。